銭湯、牛乳、ケロリン…銭湯の設備などについて

銭湯、牛乳、ケロリン…銭湯の設備などについて

「銭湯」という言葉で思い浮かべるもの、と聞かれた時、「牛乳」と「ケロリン桶」はかなり上位に来るのではないでしょうか?
しかし、冷静に考えてみれば、「なぜお茶やサイダーなどではなく牛乳なのか?」、「頭痛薬であるケロリンと銭湯に何の関係があるのか?」といった問いに答えられる人は少ないのではないでしょうか?

そこでこのコラムでは、「銭湯と言えば牛乳」、「銭湯と言えばケロリン桶」という謎に迫っていきます。

なぜ銭湯で牛乳なのか?

お風呂で汗を出したら水分補給が大事、それは非常に分かりやすい話ですが、ではなぜお茶やサイダーではなく牛乳なのでしょうか? ここでは銭湯と牛乳の意外と深い関係を解説していきます。

牛乳と銭湯の謎を探るには、時代背景を語らなければならない

牛乳が銭湯に置かれるようになったのは昭和30年代、西暦でいうと1950年代です。このころがどんな時代かというと、テレビが放送開始したのが1953年、一般家庭向けの冷蔵庫が販売され始めたのが1952年、という時代です。もちろん発売当初のテレビや冷蔵庫は高級品で、庶民が誰でも買える価格ではありませんでした。

一方、銭湯の全盛期は昭和40年代ですから、牛乳が置かれ始めた30年代には右肩上がりの成長をとげていた時期です。

牛乳業界はこの時代背景を踏まえて、銭湯=広告媒体と判断した戦略に出たのです。

昭和中期は、銭湯=メディアだった

前の項目で書いたように、昭和30年代は銭湯が全盛期を迎えようとしていた時代ですから、銭湯に商品を置くと言うことは大きな宣伝価値がありました。今では商品の広告はテレビCMやネット上の広告が主流ですが、昭和30年代にはスマホどころかパソコンという言葉もありませんし、テレビもまだ普及していません。

そんな中で銭湯に商品を置いてもらえば、計り知れない広告効果があると牛乳屋さんが見込んだのです。これは現在で例えるなら、人気ドラマやバラエティー番組の途中でCMを流したり、Youtubeの間に広告を挟んだりといったくらいの効果があったのかもしれません。

銭湯×牛乳の陰には冷蔵技術も関係

前述したように銭湯×牛乳のタッグができたころには、一般家庭にはまだ冷蔵庫が普及していません。つまり、牛乳のように腐敗の心配があるものは買い置きができなかったわけです。買い置きが出来ない以上、牛乳は少量ずつしか買うことができません。

つまり、牛乳の宣伝効果だけでなく、銭湯に行けば牛乳が飲める、という銭湯に行きたくなる理由付けにも働いたわけです。つまり一方だけが得をするのではなく銭湯と牛乳業界の両方の関係が成り立っていたと言えます。

ケロリン桶との関係性

牛乳に続いてケロリン桶と銭湯の関係を語りましょう。

そもそもケロリンってなに?

ケロリンは内外薬品という製薬会社が、大正14年(1925年)に販売開始した解毒鎮痛剤です。眠くならない非ピリン系の鎮痛剤として、現在もちょっとレトロなパッケージに包まれて販売されています。

ケロリンという名称は、当時の既存の薬に比べて効き目がはやいということを強調するために、「ケロッと治る」という意味で付けられました。

ケロリン桶が生まれた経緯

ケロリンはよく効く薬として評価され、ケロリ、ケロチン、ケロトンなどの類似品が出回るほどの人気がありました。とはいえ大正から昭和の初期には今のようなメディアネットワークは無く、人気商品と言っても日本全国に浸透するには時間がかかります。

ケロリンの人気を不動のものにしたかった内外薬品は、当時人気があった野球やボクシングでケロリンの垂幕を置いたり、映画館の場内放送でケロリンの名前を呼んでもらったりするなどの販売戦略を行います。

そのような流れで、当時温泉や銭湯が木の桶からプラスチックの桶に変わる時期に、ケロリンの名前を桶に入れることを思い立ったそうです。銭湯が広告媒体としての機能を持っていたことは牛乳の項目でも話した通りです。

このケロリン桶が瞬間的なキャンペーンに終わらず、長く愛されるには内外薬品の努力と戦略もありました。まず、桶を「永久桶」と呼ばれるほど、簡単に壊れないように強力な作りにしたことで、他の桶に交換されてしまうことを避けました。桶が永久でもケロリンの宣伝にならないのでは意味がありませんから、桶の内部にケロリンの文字を埋め込んで文字が消えにくい工夫もしています。また、関東と関西の使い方の違いに着目して桶の大きさを少し変えるなどの配慮も行われています。

このような努力によって銭湯と言えばケロリン、というイメージは日本中にしっかりと残っていったのです。

まとめ

銭湯と牛乳とケロリンの関係についてまとめました。昭和30年頃と言えば今から60年ほど昔のことです。半世紀以上たっても続く銭湯と牛乳とケロリンの関係は、ケロリン桶のように人類の歴史が続く限り永久に続いていくことでしょう。

銭湯と言えば江戸っ子たちが愛した文化ですが、東京の江戸川区には令和になった現在もたくさんの銭湯があります。ケロリン桶でお湯を汲み、湯上りに牛乳が飲みたくなったと言う方はぜひ江戸川区の銭湯にお越しください。

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